現代日本人の家族: NFRJからみたその姿 (有斐閣, 2009年)

藤見純子・西野理子編, 2009,『現代日本人の家族 ―NFRJからみたその姿』有斐閣.

Fujimi, S., & M, Nishino eds., 2009, Family Patterns in Contemporary Japan, Yuhikaku.

[Publisher’s Page]

書誌情報

  • Title: 現代日本人の家族: NFRJからみたその姿 (有斐閣ブックス) || Family Patterns in Contemporary Japan
  • Editors: 藤見 純子, 西野 理子 || FUJIMI Sumiko, NISHINO Michiko
  • Date: 2009.2.20
  • ISBN: 978-4-641-18370-4
  • Publisher: 有斐閣 || Yuhikaku
  • Price: 2,200 yen

Introduction

このたび『現代日本人の家族』と題する書物が刊行されました。これは、日本家族社会学会がこれまでに実施した全国家族調査データを基づいて、多くの人々に、現代日本の家族を多面的に知ってほしいとの目的で編集された書物です。

日本家族社会学会は通称 NFRJ (National Family Research of Japan) と呼ばれる全国確率標本による調査を実施しています。1998年に第1回、2003年に第2回、そして2008年に第3回の調査を、また2001年には特別調査も実施しました。これらを合わせると2万人以上の方々から家族についての広範囲の情報を提供していただいたことになります。

本書には、上記した調査データから読み取れる現代日本人がもつ家族の姿を、ひろく専門家以外の人びとに、また家族に関心をもつ多くの同時代人に、正確に伝える機会を提供できればという思いが強く込められています。現代日本人が結んでいる親や子との、また夫や妻との、またきょうだいとの関係について、それぞれの関係の実態やそれについての個人の主観的評価などが可能な限り平明な記述で描き出されていますので、一読の価値はあるかと思います。

家族は、あまりにも自明の経験事象であるために、ともすれば思いこみや偏見でそれを語りがちのように思われます。本書が、家族に関するさまざまな意見や議論、さらにはさまざまな領域の研究や実践の基盤に据えられることを願っています。

Table of Contents

はじめに (藤見 純子) pp. i-iv

執筆者紹介. pp. v-vii

目次. pp. viii-xi

第1章 家族ってなんだろう?

1-1. 現代日本人は誰を家族と思っているか (藤見 純子) pp. 2-14

「家族とは」を問うこと / 保有する親族カテゴリーと親族人数 / どのような親族が家族と認知されているか / 家族認知の年齢差と男女差 / 家族認知と家族概念
(data=NFRJ98)

1-2. 一緒に住んでいる人・いない人 (稲葉 昭英) pp. 15-24

家族と世帯 / 一緒に住んでいる人 / 純同居率の比較 / 一時的に別居をしている人 / 一時的別居と別世帯 / 居住規則からみた家族
(data=NFRJ03)

第2章 時代のなかの家族

2-1. 長男長女と一人っ子が増えた?: きょうだい構成の推移 (西野 理子) pp. 26-35

きょうだい2人への収赦 / きょうだい構成の単純化 / 長男長女・跡継ぎの増加と跡継ぎの意識 / 兄弟姉妹死亡の経験 / きょうだい構成はなにによって変わりうるのか / きょうだい減少はどのような社会をもたらすのか
(data=NFRJ03)

2-2. きょうだい内での学歴達成 (保田 時男) pp. 36-45

きょうだいで学歴が変わる? / きょうだい数の減少と進学率の上昇 / きょうだい構成の4つの側面 / きょうだい数の影響 / 資源希釈モデルと選択的投資モデル / 出生順位の影響 / 出生間隔の影響 / 性別構成の影響 / メカニズムの探求へ
(data=NFRJ03)

2-3. 夫になったとき・妻になったとき (澤口 恵一) pp. 46-54

晩婚化論の誤謬 / 晩婚化と初婚タイミングの拡散 / 学歴効果の縮小 / 未婚化の進行 / 若年層の結婚希望 / 非婚社会のゆくえ
(data=NFRJ03)

2-4. 夫婦のかたち・結婚のかたち (藤見 純子) pp. 55-71

「男性と女性」から「夫と妻」へ / 結婚のかたち / 戦後50年間の変化と連続性
(data=NFRJ-S01)

2-5. 配偶者との別れと再びの出会い: 離別と死別,再婚 (福田 亘孝) pp. 72-84

結婚のゆくえ / パートナーとの別れはどう変化してきたか? / どんな人が離婚するのか? / 子どもは夫婦にとって「鎹」か? / 愛する人と「永久の別れ」を経験するのは誰か? / 再チャレンジするのはどんな人か? / 「皆」離婚社会の誕生?
(data=NFRJ-S01)

2-6. 親になったとき (澤口 恵一) pp. 85-92

少子化の動向 / 親からみた子ども数 / 親なり年齢の推移 / 晩産化社会のゆくえ
(data=NFRJ03)

2-7. 親と死別したとき: 子ども役割の喪失 (田中 重人) pp. 93-102

両親の健在/死亡 / 両親との年齢差 / 父親との死別, 母親との死別 / 子ども役割の喪失 / 子ども役割の喪失と親になる経験
(data=NFRJ98)

第3章 夫との関係・妻との関係

3-1. 夫婦の働き方 (西村 純子) pp. 104-114

夫婦の働き方のパターン /家族のライフステージと共働き率 / 家族のライフステージと妻/夫の働き方 / 夫婦の就業パターンは家族生活にどのようなインパクトをもたらすか / 何が小さい子どもをもつ妻の働き方に影響するのか
(data=NFRJ03)

3-2. 夫の家事参加 (永井 暁子) pp. 115-121

夫はどのくらい家事をしているのか /夫の家事参加は増えたか / 夫はなぜ家事をするのか/しないのか / 夫の家事参加がもたらすもの
(data=NFRJ98,NFRJ03)

3-3. 夫婦関係の評価 (稲葉 昭英) pp. 122-130

配偶者からの情緒的サポート / 結婚満足度 / 結婚満足度のU字型パターン /結婚満足度に影響を与える要因 / 夫婦間のトラブルやもめごと
(data=NFRJ03)

第4章 親と子のつながり

4-1. 育児としての母と子のつながり (永井 暁子) pp. 132-140

育児の主要な担い手としての女性・母親 /母親と子どもの日常的なかかわり /子育ての悩み・不安 /養育態度 / 母親と子どものつながり
(data=NFRJ03)

4-2. 育児としての父と子のつながり (神原 文子) pp. 141-153

父親の育児とは / 日本の育児期の父親像とは / 育児期の父親による育児の頻度は / 比較的よく育児をしている父親とは / 父親とそれぞれの子どもとのつながり
(data=NFRJ03)

4-3. 成人した子とのつながり: 親からみた親子関係 (嶋崎 尚子) pp. 154-165

成人した子どもとの関係をどうとらえるか / NFRJ03における成人した子ども / 子どもと同居するのか, どの子どもと同居するのか / 会話頻度からみる成人子との関係 / 成人子からの援助 / 成人子への援助 /成人子との関係と生活の質
(data=NFRJ03)

4-4. 結婚した子と実親・義理の親とのつながり: 子からみた親子関係 (田渕 六郎) pp. 166-185

結婚した子と実親・義理の親とのつながりを分析する視点 /居住関係からみた親・義親とのつながり / 既存調査にみる親との同居に関する傾向 / 親との同居 / 親との居住距離 / 会話頻度からみた親とのつながり / 親からの援助と親への援助 / 金銭的援助関係 / 非金銭的援助関係 / 義親との関係と実親との関係の関連 / 親子のつながりのゆくえ
(data=NFRJ03)

第5章 兄弟姉妹とのつながり

兄弟姉妹とのつながり (西野 理子) pp. 187-198

きょうだいは「他人のはじまり」? / 年齢や性によって兄弟姉妹との付き合いは違うのか / 兄弟姉妹の相手によって付き合いは違うのか / 2人きりのきょうだいは仲がよい / 姉妹, とくに2人きりの姉妹が仲がよいのはなぜか
(data=NFRJ03)

第6章 援助資源としての家族

援助資源としての家族 (大和 礼子) pp. 199-208

家族はほんとうに頼りになるのか / 現代日本人は困ったとき, 誰を頼りにするのか / 家族への援助期待は社会階層によって異なるか / 家族に援助を期待する人は専門機関からの援助は期待しないか / 「困っている人を援助するのは家族」という想定の見直し
(data=NFRJ03)

Appendix

NFRJ 調査の概要 (田中 重人) pp. 209-215

引用・参照文献. pp. 217-222

Reviews to This Book

書評および文献紹介:

NFRJレポート

第19回日本家族社会学会大会 (2009, 奈良女子大学) で書評ラウンジ「『現代日本人の家族』と全国家族調査」を開催
この書評ラウンジを基にした記事を「NFRJレポート」として『家族社会学研究』22巻1号に掲載しました。